プラゼール水生生物研究所では、大半の水槽を底面フィルターで管理している。 理由は、利点として

  • ポンプ一台で多くの水槽に送気が出来る
  • 価格が安い
  • 性能が優れている
  • 壊れにくい

欠点として

  • 管理が大変(掃除しにくい)
  • 砂が多く必要
  • 水槽が重くなる
  • 魚の泳ぐ場所が少なくなる
  • 砂がフィルター内に入るとセットし直さなければならない

大体以上のように考えられると思う。ショップとして重要なのは、何と言っても性能と価格である。 しかしそれも、管理が大変ではついサボり気味になり、十分な成果を上げられなくなる。 したがってこのフィルターの使用には、掃除をいかに軽減し早くきれいに終えるかという問題が付きまとう。

プラゼール水生生物研究所では、45cm水槽を完全に洗い、100%の水替えを行うのを10分以内で行う。 魚は出さずに底面フィルターを洗ってしまう。 店の構造上、溜め水を十分使用でき、排水もオーバーフローで簡単に出来る事が、この方法を可能にしている。

方法

  1. 水位を減らす(水槽をかき回すときに水がこぼれないため)。
  2. ガラス面、シリコンをアルミたわしでこすり、コケをしっかり落とす。
  3. 立ち上がりパイプ周辺から、手で砂を巻き上げ前へ移動する。
  4. 後方の砂も激しくかき混ぜながら、前方へ移動させる。
  5. 直後から、ホースで水を抜いていく。
  6. 水位が1/3程になり、魚が跳ね出す前に、立ち上がりパイプ周辺に溜め水を落とし込む。
  7. その位置に、再び砂を手で戻し、盛り上げる。 その際、くれぐれも魚を埋めてしまわないように注意する(コリドラスは埋まりやすい)。
  8. 前面にあった砂をかき回し洗いながら、更に後方の立ち上がりパイプ周辺に盛り上げる。
  9. ほとんどの砂を底面フィルターの上に盛り上げる様に移動させる。
  10. 盛り上げた砂に、きれいな溜め水をパイプを使い注ぎ込む。(これにより砂の中に溜まっている汚れた水が押し出されてくる)。
  11. 排水ホースで水を抜きながら、砂に溜め水をまんべんなくかけ、水槽の水が完全に透明になるまで続ける。
  12. 水が透明になったら、排水ホースを抜き、水位を上げていく。

以上の方法なら、フィルターを稼働しながら、魚を移動させずにきれいに洗い上げることが出来る。なれると8分程度で終了する。

アマチュアの方は、泥濁りの水槽の中で逃げまどう魚を見て、とてもこの様な掃除の仕方は受け入れがたく思うかも知れない。しかし、魚はこの程度の作業で死亡することは無く、水替えをしたことにより、一層元気になることが普通である。よほど心配なら塩か殺菌剤を薄く混ぜておけばいい。

雨期の増水に遭遇する熱帯魚の多くは、凄まじいばかりの泥水の激流の中で、場合によっては何日も過ごさなくてはならない。台風による河川の増水時でも川魚は耐え抜き、水が引き清流に戻れば、何事もなかったかのように元気に泳いでいる。 これらを考えると、わずか数分の水の汚れなど問題になるまい。

以前は、水昨フレンドやプロホースなどを使用していたが、作業に時間がかかること、器具の使用により疲れること、思ったようにきれいにはならないこと、上記手洗い同様にきれいに仕上げると、より大量の水が必要になること、などが発生し効率は良くない。 現在では清掃器具の使用は完全に止め、手洗いのみで行っている。特に水槽が大型になればなるほど、この効果の差は歴然としてくる。

この方法では、フィルター掃除と水替え100%を同時に行っているが、問題はほとんど無い。良く飼育解説にフィルター掃除と水替えを同時にやってはいけないという記述を見ることがあるが、少なくとも底面フィルターではこの様な心配は無用である。

プラゼール水生生物研究所ではスポンジフィルターも多用しているが、その際にも同時に清掃を行っている。その際に起こるPHの変化による魚の死亡を、時折PHショックなどと称している記事を多く見かけるが、現実的にはこれも起きることはほとんどない。

PH値で行けば、もともとの飼育水がPH5位で溜め水がPH8位だから、1000倍位の水素イオンの濃度変化があるにもかかわらず、当研究所での死亡例は全くと言っていいほど無い。

手洗いによる水槽洗浄に際しての底面フィルター加工

底面フィルターの種類は価格性能から考えて、バイオフィルター(ニッソー)がお勧め。少し大きな水槽(60cm以上)なら、ハイドロフィルターがお勧めである。

特にハイドロフィルターは、現在発売されているフィルターの中で、最も優れていると言ってよい。ただし、きちんとした使用をする必要がある。

どの製品でもそうだが、このフィルターを細かいメッシュの網で完全に覆ってしまう。 プラゼール水生生物研究所では、アメリカ製のグラスファイバーネット(グラスファイバーの糸を塩化ビニルでコーティングしたもの)を熱圧着し、フィルターをくるんでいる。このネットのメッシュが、フィルターには丁度良いのである。細かすぎれば直ぐつまり、荒すぎれば砂が落ちてしまう。

このような下準備があるので、いくら大胆に激しく砂を動かそうと、フィルター内に砂が入らないのである。もしこれをしなければ、たちまち底面フィルターは機能しなくなってしまうだろう。

底面フィルターの手洗いは、このようなフィルター加工が可能になったからこそ出来るようになった方法なのである。

追伸:グラスファイバーネット、底面フィルター加工、販売を行っています。必要な方はご連絡ください。